リチャード・フロリダ 『クリエイティブ都市論』

クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める

クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める

世界は「フラット化」しておらず、逆に限られた「メガ地域」に経済、芸術、科学の活動が集積している。それらメガ地域は互いに、世界に1億5000万人ほどいる、移動性の高い「クリエイティブ・クラス」の人々によって結びつけられている、という。貧富の差は拡大し、世界は「フラットな」谷底と、活動が集積する「スパイキー」なメガ地域に分断されている。というのが第一部。「クリエイティブ・クラス」ってなに?っていうのはうさんくさい概念だし、本書には解説がないんだけど、まあ感覚的には、確かにそうなんだろうね。けど、どういうところがスパイキーになるのか、その辺はちゃんと分析されていなくて、ものたりない。次のメガ地域になりそうなのが、なぜバンガロールで、例えばなぜパルマじゃないのか。パルマでもいいじゃんね。

二部、三部は、「場所の経済学」、「場所の心理学」となっていて、こちらは第一部とあんまり関係ないんだけど、おもしろい。それぞれの都市に住む人の性格を分析すると、都市ごとにすごく特徴が出るんだって。たとえばサンフランシスコには開放性の高い人が多い。ニューヨークには情緒不安定な人が多い。これは一般的な感覚と近いんだけど、これもなんでそうなるのかもう少し分析してほしいね。もちろん本書はアメリカの都市の分析をしているんだけど、日本でも同じような研究誰かしてくれないかなあ。横浜はサンフランシスコ的で東京はニューヨーク的だよね多分。