ロバート・A・G・モンクス、ネル・ミノウ『コーポレート・ガバナンス』

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス

  • 作者: ロバート・A.G.モンクス,ネルミノウ,Robert A.G. Monks,Nell Minow,ビジネスブレイン太田昭和
  • 出版社/メーカー: 生産性出版
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 単行本
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原著は1995年。2013年2月読了。

値段も高いし、なんとなく手に取るのを怯むような見た目の一冊だが、400ページ弱でそれほど分量もなく、ケース紹介も多いので結構すいすい読める。
米国のケースを中心に、主に経営陣、株主、取締役会の相互の関係を描いている。あまり従業員が登場しないのがいかにも米国の著者っぽい(Wikipediaによると著者はハーバード等を出た後、弁護士事務所やコンサルで勤務したという経歴)。巻末に日本、ドイツ、等の事例紹介があり、これは参考になるのだが、米国のやり方と言うのはやはり参考にしにくいものがある。結局、「経営者」という層があまりに日本では希薄である。

例えば日本のやり方について著者はこう書く。<日本のトップ企業で海外に駐在している日本人幹部社員の中で、日本企業が真に多国籍になろうとするなら日本の取締役を変革しなければならない、という意見に意義を唱える人はほとんどいないだろう。ただし日本にいる同僚や上司が、こうした意見をどの程度まで共有しているかは定かでない。日本では取締役が経営陣の延長になっているが、その原因となっている長期的で密接な人間関係や共通の企業経験は、外国人であろうと日本人であろうと社外の人間を本質的に排除するものである。取締役会は、その役割と責任を明確にした透明な方法で運営されるべきであり、経営陣から独立した権限を与えられるべきである。社外取締役が実質的な影響力を与えるのはその後である。> (p. 317)

これが書かれてから20年近い年月が経っているが状況はぜんぜん変わっていない。おっしゃることはもっともなのだが、なぜそういう変化が起きないのか、こういうことをやって成功した会社がないのか(あれば知りたい)、そういうところに切り込んだ本を探したいと思っていて、ガバナンス関連の本を10冊くらい読んだのだがまだ答えが分からない。

★★★☆☆