服部圭郎『道路整備事業の大罪』
- 作者: 服部圭郎
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2009/08/06
- メディア: 新書
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例えば、都市デザイン研究者の中では、自動車を街に入れない、ということが魅力的な都市作りの一つの手法として認識されている。コペンハーゲン、クリチバ(ブラジル)、ミュンヘン、フライブルグ、エジンバラ、ブタペスト、等々、名の知れた街にそういうコンセプトで作られた街区がある。クリチバの例では、商店街の各店主の反対を押し切り、連休中に商店街を歩行者専用道路に市長が強引に変更した。店主ははじめ猛烈に抗議したが、その後店の売上は2倍から3倍に増えたという。
そもそも、大きな道路が開通すると住民が減少するという現象が観察されている。これは、例えば、アクアラインが建設されるとき、推進者は木更津側の人口が増加し、商業が活性化することを期待・予測していた。結果はどうかというと、開通前の1996年の同市の人口は12.3万人だったが、これが2005年には12.2万人に減少し、商業統計によると期去らずの年間商業販売額は1997年から2002年の5年間で16%減少したという。そごう、ダイエー、西友は次々に撤退、地価下落率は全国一位となった。一言でいうと、散々な結果である。
こういう結果を見ても、まだ大規模道路計画の立案をやめない政治家・政策当局を筆者は強く批判している。至極もっともな主張だと思うし、こういうような道路計画を推進している地方の政治家の方に、読んで意見を聞かせてほしいと思う。あと、当時の木更津市長にも。