岩田規久男 『日本銀行は信用できるか』

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

だいぶタイトルが挑発的でびっくりするが、本書の提言は建設的だと思う。すごくざっくり言うと、日銀は裁量的な運営をやめて明確な目標を設定して説明責任を果たしましょう、ということ。

日銀は「物価の安定」のためにあると言いながら、物価の安定については明確な定義がなく、安定しているかどうかは日銀の「総合判断」にゆだねられている。日銀が安定しているといえば、安定しているということだそうだ。

<日銀は、第三者機関から監視・評価されることなく、金融政策の達成目標をあいまいにしたまま、その目標達成手段を自分で決めている。これでは、国民には日銀が国民のためになすべき仕事をしているのかどうか全く分からない。> (pp. 198 -199)

岩田先生は日銀批判派の最前線にいる方なので、少しは割り引いて聞く必要もあると思うが、こういうガバナンスの欠如が実態としてあるのだろう。日銀に限らず、こういう機関って日本にすごく多いと思うんだよね。うちの会社の古い人が「自分の仕事の評価は、自分でなくて人がする」と言ってて、それって当たり前のことだと思うんだけど、意外とそういう仕組みができていない。何にせよ独りよがりになるといけません。