ナヤン・チャング 『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』

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5万年の昔から、商人、戦士、宗教家、冒険家が世界を飛び回り、世界中を結びつけていた、ということを事例を取り上げながら描く一冊。しかし、なにか物足りない。

「グローバリゼーションは人間社会を結びつけ相互依存関係を構築していく大きな流れであり、人類の歴史の一部なのだ」とか言っちゃって、とてもナイーブな認識をしているように思える。著者のように、英語が話せて世界中で仕事をしてきた人間にとっては、国境を越えて情報、人、モノ、金が動くことは世界にとってプラスに見えるだろう。しかし、昔から、そうやって国境を越えて活動する人たち、戦士でも商人でも宗教家でも冒険家でもいいのだけど、そういう人たちはほんとうに少数派でしかない。多数の人はどう感じるのだろうか。貧困国でもグローバリゼーションは好意的に受け止められている、とか言っているけど、例に出しているのはフィリピンとインドと中国。フィリピン、インドは明らかに英語ができるからだよね。中国は、もはや貧困国というか世界第二位のGDPの国でちょっと事情が違う。

要するに、英語が話せて、世界を飛び回っている人が「グローバリゼーション」はこうなります、という与太話を「ドラマ」と称して長々書いているに過ぎない。これよりコリアーの『最低辺の10億人』とか読んだ方がよい。

★☆☆☆☆

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (上)

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (上)

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (下)

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (下)

最底辺の10億人

最底辺の10億人