イタリアの状況

以下、昨日「イタ研」のメーリングリストに送ったメールの転載。報道過熱気味。

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当地では、イタリア人の友人も本当に心配してくれていますし、どんな店に行っても「日本人か?あっちはだいじょうなのか?」とそんな風に聞かれます。うちの大家さんなどは、東京の家族をいつでも呼び寄せてよいから、などと言ってくれます。そういう心配の気持ちはありがたいのですが、どうもイタリア側の報道が、特に原発関連でセンセーショナルに偏っていることが分かって来ました。わたしのイタリア語能力の不足もあり、 各紙の詳しい内容までは追いかけられていませんが、見出しでは「制御不能に」「チェルノブイリ状態か」「溶融はじまる」「ついにアメリカに支援要請」などなどの文字が並びます。よく読まないでいると、読者は日本はだめかと思っても仕方ありません(そもそもイタリア人はあまり記事を細かく読みこまない傾向がある気もします、、、)。わたしも不安になって日本のメディアの情報も追いかけていますが、これもよく分からないことが多いものの、トーンとしては冷静だと思います。大家さんの言葉を受けて念のためうちの東京の家族にも聞いてみましたが、日本から避難することはまだ全然考えていませんね。

報道のみならず、政治家もだいぶ冷静でなくなってきており、日本からの農産物輸入を一時停止する、というニュースも見ました。真偽は確認取れていませんが、これはいくらなんでもやり過ぎです。

実はわたしは再生可能エネルギー関連の仕事をしているので、もとよりイタリア国内の原発動向については調べていたのですが、この地震の直前ま では原発再開に国全体がかなり強く傾いていました(イタリアは1988年に原発を国民投票で廃止しています)。3月には再生可能エネルギー関 連の補助金を大幅にカットする政令が出され、その際にもPaolo Romani 経済開発大臣(Minister of economy development) は、コストの高い再生可能エネルギーにブレーキをかけて、原発の計画の実行を急ぐ、と明言しています。具体的には、国の原子力政策の可否を問う国民投票が この春から夏にかけて行われる予定になっておりました。年始に行われた世論調査では原発賛成派が半数を超えていました。ということで、原発にはずっと注目が集まっていたのです。今回の日本の災害で潮目が変わり、伊国のエネルギー政策は一気にどうなるか分からなくなり、予断を許さない状況になりました。ちなみに、昨日の150周年式典はParmaではあまり大きなイベントがなく、テレビでどこかの大都市の映像を見ていました(RAI NEWSだったと思います)。ただ、その下に「日本原発云々」「Paolo Romani原子力計画見直しについてコメント」という、なんだか150周年の雰囲気にあわないおどろおどろしいテロップが流れていて、式典に集中できませんでした。

兎に角祖国のいち早い復旧を祈るばかりです。「日本人ならできるよ」と言ってくれる友人もおり、これはとても励みになる一言でした。