宮崎哲弥、呉智英『知的唯仏論』

知的唯仏論

知的唯仏論

2012年12月刊、2013年1月読了。

これもアマゾンのお薦めででてきた。すごいぞアマゾン。
宮崎哲弥の博覧強記ぶりにびっくりする一冊。ただ、議論されていることは、呉智英の『つぎはぎ仏教入門』とほぼ重なるので、入門者には『つぎはぎ』で足りる。ただ、佐藤優、中沢新一、山折哲雄、宮台真司、などを俎上にあげているのはこちらなので、そういうゴシップ的な話題に興味があるならこちら。

佐藤優について:<呉 あの人はやっぱり自分の中でキリストを信ずることについてそういう宗教的な何かがあるっていうんだよね。
宮崎 佐藤さんの神学論は幾つか読みましたが非常に論理的で、あまり劇的な回心とか、信仰の跳躍とかは感じなかったけどな。
呉 いや、親の影響かなんかであるみたいなことを中村うさぎとの対談のなかで言ってる。彼の理詰めでキリスト教のことを究めていくあたりは、「じゃ、なんで信じているの?」っていう疑問がどうしても出てくるんだよね。でも彼は「信じてる」と言うんだよ。彼は、キリスト教の論理がつぎはぎでメチャクチャだとわかっていて、論理的にそれを認めながらも「信じてる」と言うんだよね。> (pp. 115-6)
中沢新一:<呉 じゃあ、中沢新一はどうですか。中沢センセーがああいう言説を吐かれるのは何かあるんですか。
宮崎 中沢氏はおっしゃることが時と場所によってコロコロ変わるし、結局何一つ---自分自身さえも信じておられないのではないかと拝察いたします(笑)。> (p. 111)

とか。やはり対談本に期待するのはこういう部分なのだね。そういえば『文学賞メッタ斬り』もそういうのがおもしろかった。

★★★☆☆