E.I アルトマン/S.A. ナマチャー、内堀節夫/黒沢義孝訳、『ジャンク・ボンド 高利回り債券の投資戦略』

ジャンク・ボンド―高利回り債券の投資戦略

ジャンク・ボンド―高利回り債券の投資戦略

仕事のために買って読んでみた。1987年の著作で、まだLBO市場が空前のブームが起こる前(KKRによるRJRナビスコの買収は1987年)。従って、若干求めているものと違うトーンであった。巷の本では、「LBOの資金調達の手法としてジャンク・ボンドが開発された」みたいなことが書かれていることが多い気がするが、実際にこれを読むと、そういうことではないようだ。<70年代末からの金利の上昇と高利回り社債の急速な拡大は、多岐にわたる金融機関によって低格付け債の相対的な魅力を開拓させてきた。投資適格のみならずリスクフリーの政府債への投資家ですら金利が上昇し価格が下がったため、彼らのポートフォリオの事後的な収益率は低くなるかマイナスとなり、迷いから覚める人々が増加したのである。ある時期には株式投資収益率は確定利付債券への投資よりあまりよくないか、悪かったため、これらの投資家はジャンク・ヤードで発見された高クーポン債に”色目”を使い始めた。> (p.4)

その他、メモ。
・78年には15億ドルだった高利回り債発行額は、85年には147億ドルになった。85年の金額のうち、62億ドルがM&Aのための資金だったとされる(いわゆるPEによるLBO以外のものも含む)。
・残高でみると、85年では公募債残高合計は3956億ドル、うち高利回り債は590億ドル(14.9%相当)。
・満期は短期化していて、78年には19年、85年には11年に。
・1978-1983年にかけて、高利回り債と政府長期債の利回りの差は3.60-3.74%程度。当時は政府長期債利回りが13%を超えることがあったため、高利回り債は17%を超えるクーポンを付けることもあった。