松下文洋『道路の経済学』

2005年刊。

道路の経済学 (講談社現代新書)

道路の経済学 (講談社現代新書)

以前レビューした(http://d.hatena.ne.jp/daikarasawa/20130408/1365423794)、服部圭郎『道路整備事業の大罪』なんかとテーマは似ていて、道路行政の非効率についてアカデミックに検証した一冊。著者は不動産鑑定士。安心して読める一冊。
以下、メモ。

  • (当時)アクアラインを利用する自動車のうち、トラックは2-3%程度(料金が高すぎるため)。通常の国道や高速道路では10-25%。これが首都高湾岸線、京葉道路に流れて、そちらの大気汚染と渋滞を起こす。というか、渋滞解消になっていない。
  • 経済にも貢献していない。もともとアクアライン開通で木更津側に10万人規模の人口増加を見込んでいたが、ぜんぜん人は集まらず、地価もピーク(92年)と比較し2005年は14分の1。同期間に新宿区は3分の1なので(これもひどいが、、)、木更津の落ち込み具合が分かる。
  • ロンドンのM25環状高速道路(全長180キロ、6車線)の建設費は2300億円、1キロ・車線あたり2.1億円。日本の圏央道(半径40キロ、全長230キロ、4車線)の建設費は4兆円程度。1キロ・車線あたり43.5憶円。ロンドン環状の20倍。さらに首都高中央環状線は1キロ当たり1000億円、1キロ・車線あたり250億円。
  • イギリスの都市では2005年に、混雑時に中心部に入る車は一定の税金を徴収されることになった。ただしこれは自己申告での支払いである。これで交通量が減るのかという懸念もあったが、乗用車の交通量は25%程度減少した。

(メモ終わり)