伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/29
- メディア: 文庫
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ストーリーは、国家権力(これが陰謀史観的イメージで描かれすぎで突っ込みどころ満載ではあるが、そういうところの緻密さには別に期待していないので全然良い)によって重大犯罪事件の犯人に仕立て上げられた青年が、警察機構の眼をかいくぐって、昔の別れた恋人の助けも借りながら、逃げのびていくという話。この昔の恋人との距離の描き方が絶妙である。もどかしいという人もいるかもしれないし、男も女も昔の恋人に思い入れありすぎでしょ、という人もいるかもしれないが、個人的にはこういう甘酸っぱさがツボである。甘すぎず、冷たすぎない感じが伊坂作品の心地よいところである。